○春日・大野城・那珂川消防組合消防本部火災調査規程
平成11年12月15日
訓令第17号
春日大野城消防組合消防本部火災調査規程(平成10年訓令第1号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 調査の体制(第6条―第11条)
第3章 現場保存(第12条―第14条)
第4章 火災原因調査(第15条―第25条)
第5章 損害調査(第26条・第27条)
第6章 調査書類の作成(第28条―第30条)
第7章 報告(第31条・第32条)
第8章 雑則(第33条―第36条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の原因並びに火災及び消火のために受けた損害の調査(以下「調査」という。)について、春日・大野城・那珂川消防組合消防本部消防活動基本規程(平成21年訓令第3号。)に規定するもののほか、必要な事項を定めるものとする。
(平21訓令1・令4訓令7・一部改正)
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因及び損害を明らかにして将来の火災予防及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 爆発現象 化学的変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(平21訓令1・令4訓令7・一部改正)
(火災の種別)
第4条 火災は、り災物件の種類により次の各号に掲げる種別に区分するものとする。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災をいう。
2 前項に規定する火災の種別が2以上複合するときは、第26条第1項第1号に掲げる焼き損害の額の大なるものの種別とする。ただし、その態様により焼き損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときはこの限りでない。また、焼き損害の額が同額又は算出されない場合は火元となった対象物の種別とする。
(平21訓令1・令4訓令7・一部改正)
(調査の種別)
第5条 調査の種別は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 原因調査 火災が発生した原因及び火災が拡大して損害を大きくした原因を究明するために行う調査をいう。
(2) 損害調査 火災及び消火のために受けた人的及び物的損害を明らかにするために行う調査をいう。
(平21訓令1・一部改正)
第2章 調査の体制
(調査の実施責任)
第6条 調査の実施責任は、消防署長(以下「署長」という。)にあるものとする。ただし、車両火災、船舶火災及び航空機火災において、り災物件が移動する場合の調査の実施責任は、別に定める。
2 前項の規定にかかわらず、消防長は、特に必要があると認められるときは、自らの責任において調査を行うものとする。
(平21訓令1・令4訓令7・一部改正)
(調査指揮者)
第7条 調査指揮者は、火災調査に従事する最上席者とする。
(平21訓令1・令4訓令7・一部改正)
(調査員)
第8条 調査を行うため、消防本部(以下「本部」という。)及び消防署(以下「署」という。)に調査員を置く。
2 調査員は、本部にあっては警防課警防救助係、署にあっては調査担当及び各第1小隊をもって充てる。
3 前項の規定にかかわらず、署長は、必要があると認めるときは、調査員以外の者に命じて調査を行わせることができる。
(平21訓令1・追加、令4訓令7・一部改正)
(調査員の派遣要請)
第9条 署長は、調査のため必要があると認めたときは、消防長に対し、本部の調査員の派遣を要請することができる。
2 消防長は、前項の要請を受けたときは、本部の調査員を派遣し署長が行う調査に協力させるものとする。
3 消防長は、調査のため必要があると認めるときは、前2項の規定にかかわらず、本部の調査員を派遣することができる。
(平21訓令1・旧第8条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(調査員の派遣命令)
第10条 消防長は、法第35条の3の2の規定に基づき消防庁長官が行う火災の原因調査に協力する場合その他特に必要があると認めたときは、調査員又は調査員以外の消防吏員の派遣を命ずることができる。
(平21訓令1・旧第9条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(調査員の心得)
第11条 調査員は、火災現象、関係法令等に精通するとともに常に調査技術の研さん及び知識の習得に努め社会の動向及び管内の諸情勢を察知し、科学的調査の実をあげるよう心がけ、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由・権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしたりしてはならない。
(3) 関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(4) 警察機関、その他の関係機関とは密接な連絡をとり相互に協力して調査を進めること。
(平21訓令1・旧第10条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
第3章 現場保存
(令4訓令7・章名追加)
(消防活動中の現場保存)
第12条 消防活動に従事する職員は、出火場所及びその付近における活動に当たっては、現場保存に細心の注意を払わなければならない。
(平21訓令1・旧第11条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(消防活動後の現場保存)
第13条 署長は、消防活動が終了したときは、現場保存のため必要に応じて次の各号に掲げる処置を講じなければならない。ただし、調査上その必要がないと認められる場合は、この限りでない。
(1) 所轄の警察署と協議の上現場保存に必要かつ最小限度の区域(以下「現場保存区域」という。)を指定して保存に努めること。
(2) 現場保存区域には必要に応じ監視員を置き、保存の万全を図ること。
(3) その他現場保存に必要な措置を講じること。
(平21訓令1・旧第12条繰下、令4訓令7・一部改正)
(焼死者等の取扱い)
第14条 署長は、現場において焼死者その他の死者が発見されたとき又は生死が確認できない関係者があるときは、速やかに消防長に報告するとともに、所轄警察署長に通報し、現場保存に努めなければならない。
(平21訓令1・旧第13条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
第4章 火災原因調査
(令4訓令7・章名追加)
(原因調査の原則)
第15条 原因調査に当たっては、常に事実の究明を主眼とし、先入観念や感情を排し、科学的かつ合理的な判断によって事実の立証及び火災実態の把握に努め、出火箇所、発火源、燃焼経過を明らかにして原因を究明しなければならない。
(平21訓令1・旧第14条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(火災出動時の見分)
第16条 先着消防隊等の長は、出動途上の状況及び現場到着時の燃焼状況並びにその推移、戸締りの状況、関係者の言動その他原因の究明に必要と認められる事項を観察見分し、調査員にこれらの状況を説明し、又は資料を提供しなければならない。
(平21訓令1・旧第15条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(実況見分)
第17条 調査員は、焼き状況を把握するため実況見分を行い、そのてん末を記録するとともに、原因の究明に必要な資料を収集しなければならない。この場合、原則として関係者の立会いのもとに行わなければならない。
(平21訓令1・旧第16条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(写真撮影)
第18条 調査員は、現場において原因究明上必要なものについては、写真撮影を行わなければならない。
(平21訓令1・旧第17条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(質問権の行使)
第19条 法第32条第1項に規定する質問は、調査員等に命じて行わせるものとする。
(平21訓令1・旧第18条繰下、令4訓令7・一部改正)
(質問)
第20条 調査員は、関係者に調査上必要な事項に関して質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。この場合、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 強制手段を避け必要以上に迷惑を及ぼし、又はみだりに私事に立ち入ることのないよう留意すること。
(2) 現場における質問に当たっては、被質問者の冷静かつ正確な供述を得るため、時間、場所その他の事情を考慮して原因究明の端緒を得るように努めること。
(3) 調査員は、自己が期待し、又は希望する供述を被質問者に暗示するなどの方法により誘導してはならない。
(4) 調査員は、被質問者から直接経験した事実の供述を得るように心がけるとともに、被質問者の伝聞にわたる供述で重要な事案に関するものは、その事実を直接経験した者に更に質問を行うように努めること。
(平21訓令1・旧第19条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(少年等への配慮)
第21条 調査員は、調査のため火災の発生に関係した少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)に対し質問を行う場合には、親権者の立会いのもとで行う等、次の各号に掲げる事項に配慮しなければならない。
(1) 調査員は、調査書類に少年の署名を求めないこと。ただし、少年の質問調書を作成したときは、その立会人に録取した内容を閲覧させ、又は読み聞かせ、かつ、立会人が誤りのないことを確認したときは、立会人に対し任意に署名を求めることができるものとする。
(2) 調査員は、新聞その他の報道機関に対し、火災の発生に関係した少年の氏名を公表し、又は推知させてはならない。
2 前項の規定は、心神喪失者又は心神耗弱の状態にある者等が関係した火災の調査に準用するものとする。
(平21訓令1・旧第20条繰下・一部改正、令3訓令6・令4訓令7・一部改正)
(資料の提出命令等)
第22条 署長は、調査のために必要があると認めるときは、関係者に対して資料の任意提出を求めることができるものとする。
2 署長は、法第32条第1項又は法第34条第1項の規定に基づく資料の提出を命じるときは、別に定める命令書により行うとともに、資料返還の必要の有無を確認しなければならない。
3 署長は、第1項の規定に基づき資料の任意提出を求めるときは、別に定めるところにより、当該資料の正当な権原を有する者に対して、資料を提出することについての承諾を得るとともに、資料の返還の必要の有無を確認しなければならない。
(平21訓令1・旧第21条繰下・一部改正、平27訓令10・一部改正)
(資料の保管等)
第23条 前条の規定により提出を受けた資料は、汚損、変質、変形等が生じないように慎重に取り扱うとともに、別に定める台帳に必要事項を記載しなければならない。
2 前項の規定により提出を受けた資料は、調査が完了したとき、又は保管の必要がなくなったときには、所有権者に返還しなければならない。ただし、所有権者が資料の所有権を放棄したときは、この限りでない。
(平21訓令1・旧第22条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
(照会・鑑定等の依頼)
第24条 署長は、調査のため必要があると認めるときは、法第32条第2項の規定により関係のある官公署に対し、照会することができるものとする。
2 原因の判定に関して特に必要があると認めるときは、収集した資料又は特異な事象について、官公署等に鑑定又は試験の依頼をすることができるものとする。
(平21訓令1・旧第23条繰下・一部改正)
(原因の判定)
第25条 署長は、実況見分、質問、収集した資料等を総合的に検討し、科学的かつ合理的に火災の原因を判定しなければならない。
(平21訓令1・旧第24条繰下・一部改正、令4訓令7・一部改正)
第5章 損害調査
(損害調査)
第26条 損害調査は、り災物件を詳細に調査し、火災及び消火のために受けた全ての損害について、次の各号に掲げる区分ごとに正確に把握しなければならない。
(1) 焼き損害 火災によって焼けた物、熱によって炭化、溶融又は破損した物等の損害をいう。
(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害をいう。
(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた損害で、前2号に該当しないものをいう。
(4) 死傷者 火災現場において火災に直接起因して死亡した者(火災により負傷した後48時間以内に死亡した者を含む。)又は負傷した者(火災により負傷した後48時間を経過して30日以内に死亡した者を含む。)をいう。
(平21訓令1・旧第25条繰下・一部改正、平23訓令9・令4訓令7・一部改正)
(り災届の提出)
第27条 署長は、火災の鎮火後速やかに損害調査の資料として関係者に対し、り災届の提出を求めるものとする。
(平21訓令1・旧第27条繰下・一部改正、令4訓令7・旧第28条繰上)
第6章 調査書類の作成
(平21訓令1・改称)
(調査書類の作成及び報告)
第28条 調査員は、調査が完了したときは火災調査報告書(添付書類含む。)(以下「調査書類」という。)を作成し署長に報告しなければならない。
(平21訓令1・旧第28条繰下・一部改正、令4訓令7・旧第29条繰上・一部改正)
(調査書類作成上の留意事項)
第29条 調査書類は、次の各号に掲げる要領により作成しなければならないものとする。
(1) 書類の作成年月日を明らかにし、作成者の所属、階級及び氏名を明記すること。
(2) 文字を改ざんしないこと。やむを得ず字句を挿入し、削除し、又は欄外に記入したときは、その字数を欄外余白に記入し、作成者が署名すること。
(平21訓令1・旧第29条繰下・一部改正、令3訓令6・一部改正、令4訓令7・旧第30条繰上・一部改正)
(調査書類の保管)
第30条 調査関係書類(添付書類を含む。)は、署において保管するものとする。
(平21訓令1・追加、令4訓令7・旧第31条繰上)
第7章 報告
(火災速報)
第31条 署長は、火災が発生したときは、鎮火後直ちに火災の概要を火災速報として消防長に報告しなければならない。
(平21訓令1・旧第30条繰下・一部改正、令4訓令7・旧第32条繰上・一部改正)
(火災の即報)
第32条 署長は、火災・災害等即報要領について(昭和59年消防災第267号消防庁長官通知)に該当する火災が発生したときは、直ちに消防長に報告するとともに、警防課を通じて、県又は国に報告しなければならない。
(令4訓令7・追加)
第8章 雑則
(照会に対する回答)
第33条 捜査機関その他の公的機関からの照会に対する回答は、消防長又は署長が行うものとする。
(令4訓令7・全改)
(参考人、証人としての出廷等)
第34条 調査員等は、調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼出し若しくは召喚を受けたときは、本部の調査員等は警防課長に、署の調査員は署長に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた警防課長及び署長は、消防長の許可を受けなければならない。
(令4訓令7・全改)
(他の災害の調査)
第35条 ガスの漏えい事故等に係る原因及び損害の調査については、この規程を準用する。
(平21訓令1・旧第34条繰下、令4訓令7・旧第36条繰上・一部改正)
(補則)
第36条 この規程の施行に関し必要な事項は、別に定めるもののほか、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号消防庁長官通知)の例による。
(平21訓令1・旧第35条繰下・一部改正、令4訓令7・旧第38条繰上・一部改正)
附則
この規程は、公布の日から施行し、改正後の春日・大野城・那珂川消防組合消防本部火災調査規程の規定は、平成11年4月1日から適用する。
附則(平成21年1月1日訓令第1号)
(施行期日)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成23年7月19日訓令第9号)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成27年7月1日訓令第10号)
この訓令は、平成27年7月1日から施行する。
附則(令和3年3月31日訓令第6号)
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
附則(令和4年6月7日訓令第7号)
この訓令は、令和4年7月1日から施行する。